はじめに
2025年2月、私はついに人生で最大の買い物であるマイホームを購入しました。 (正確には、新築のため引き渡しと決済はまだですが、無事に売買契約を締結しました。)
私はソフトウェアエンジニアであり、不動産の専門家ではありません。そんな初心者の私が、専門外である不動産の購入に至るまでの経緯を、可能な限り時系列でまとめました。この記事が、少しでもどなたかのお役に立てば幸いです。
住まい探しをはじめたきっかけ
結婚して1年余りが経ち、二人での生活にも慣れてきました。また、現在の賃貸が定期借家契約で、約半年後に更新時期を迎えることもあり、「そろそろマイホームを」と考えるようになったのが大きなきっかけです。
私たち夫婦のプロフィール・情報
- 私:30代前半、フルタイム勤務。ほぼフルリモート(出社時は品川のオフィスへ)。
- 妻:30代前半、フルタイム勤務。週2日在宅、その他は出社(オフィスは千代田区内)。
- 子ども:なし(将来的に希望)。
- 車:なし。
- 現在の住まい:駅から徒歩10分程度、築約20年の賃貸マンション(2LDK、約55平米)。
- 予算:私が組める住宅ローンの上限額まで。
情報収集
まずは情報収集から始めました。当初はSUUMOなどのアプリで物件情報や相場を眺める程度で、具体的な行動には移していませんでした。
本格的に検討を始めたのは2024年の初夏頃です。当時は首都圏を中心に不動産価格が急騰している時期でした。都心6区だけでなく、都下や近郊エリアの物件も軒並み値上がりしており、正直なところ尻込みするほどの高値でした。
私たち夫婦は中古物件も視野に入れていましたが、近所に新築マンションが建設されると知り、ウェブサイトをチェックする日々が続きました。しかし、それ以上の行動は起こしていませんでした。
そんなある日、同僚と飲みに行った際、マンションを購入した友人から特定の物件を紹介され、良い機会なのでモデルルームへ行ってみることにしました。
モデルルーム見学 (2024年9月下旬ごろ)
そのマンションは、都内のある駅から徒歩10分程度の場所に建つ新築マンションでした。物件の場所くらいしか下調べをせず、「とりあえず行ってみよう」という軽い気持ちでモデルルームを訪れました。
モデルルーム訪問時、ちょうど翌週から第1期1次の申し込みが始まるとのことで、営業担当者からは「まだ間に合いますから、まずは事前審査をいかがですか」と勧められました。しかし、私たちはまだ購入を本格的に考えておらず、様子見の段階だったため、申し込みは見送りました。
ただ、予算面に不安があることを伝えると、営業担当者からファイナンシャルプランナー(FP)を紹介してもらえることになり、後日、FPと面談することになりました。
ファイナンシャルプランナーとの打ち合わせ
FPとの打ち合わせは、非常に有意義なものでした。 もちろん、FPの方も私がこの物件を購入すれば手数料収入がある立場だったと思いますが、特定の物件を強く勧めることはなく、中立的な立場で相談に乗ってくれたのが好印象でした。
FPは私たちの家計状況や将来設計を踏まえ、様々なシミュレーションをしてくれたので、非常に参考になりました。例えば、以下のような内容です。
- ペアローンを組んで夫婦それぞれが最大限住宅ローンを借りる場合の上限額の試算。
- 将来の子どもの人数を想定し、生活費や教育費を加味した場合の住宅ローン上限額の試算。
方向性を決めた
FPとの相談を経て、予算を含めた物件探しの方向性について夫婦で話し合い、具体的に決めることができました。 私たちの希望条件は以下の通りです。
- 予算:現時点での預貯金額や生活水準から、無理なく組めるローンの上限額を数値で把握。
- 広さ・間取り:3LDK以上(できれば4LDK)、70平米以上。
- 物件種別:マンションに決定。理由は以下の通りです。
- 断熱性:妻が冷え性なのですが、以前住んでいたマンションでは症状が出なかったため、マンションの断熱性に魅力を感じていました。これが最大の理由です。
- 資産性:将来的に10年程度での住み替えも視野に入れているため、流動性の高いマンションを選択。
- 立地:戸建ての場合、駅から離れる物件が多い傾向にあります。車を所有していない私たちにとって、駅から遠いのは避けたい条件でした。
- ゴミ出し:24時間ゴミ出し可能な環境に慣れていたため。
- 立地(詳細):
- 妻の職場(千代田区内)へのアクセスが良いこと。
- 私の職場(品川)へもアクセスしやすい場所が理想。
- 最寄り駅から徒歩10分以内。
- 住み慣れたエリア:妻が「あまり知らない街には住みたくない」という希望がありました。実際に中古物件を探す際も、土地勘のある近隣エリアの方が検討しやすかったです。
中古マンションの探しの旅に出る (2024年10月中旬)
こうして物件探しの方向性が定まり、モデルルームを見学させてもらった営業担当の方にはお礼を伝え、検討対象外であることを告げてその場を後にしました。(営業さん、その節は申し訳ありませんでした。)
近隣で希望に合う新築マンションがあまり販売されていなかったこと、そして新築・中古にこだわらないスタンスだったため、このタイミングで初めて近所の中古マンションの内見に行きました。
まず、SUUMOで気になった物件をいくつかピックアップし、内見を申し込みました。すると、すぐに複数の不動産業者から連絡がありました。その中で、連絡が早く、こちらの要望に柔軟に対応してくれた業者をメインに、内見などの仲介をお願いすることにしました。
学び
- 仲介業者は複数社と連絡を取るのがおすすめ:自分の要望や希望する連絡頻度に合う業者を選ぶと、その後のやり取りがスムーズです。
- 仲介手数料について:仲介手数料は物件価格の3%+6万円(税別)が上限です。例えば5000万円の物件なら約170万円(税込)もの手数料になるため、信頼できる業者を慎重に選ぶべきです。
中古マンション 内見(1)
現在住んでいるマンションから徒歩10分ほどの、閑静な住宅街に建つマンションでした。 空室だったため、賃貸物件の内見のように気兼ねなく見学できたのは良かったです。しかし、室内の所々に傷が目立ちました。また、相場より価格が安いにもかかわらず、私がSUUMOでお気に入り登録してから3ヶ月ほど売れ残っている状況を見て、「あまり人気がないのかもしれない」と感じました。妻も特に気に入らなかったため、この物件は見送ることにしました。
この時点で、仲介業者から住宅ローンの事前審査を勧められました。事前審査とは、本審査の前に行う簡易的な審査で、収入証明などを提出することで、銀行からおおよそいくら借り入れできるかを確認できます。これにより、借入可能額の目安が分かります。特に私は転職して3ヶ月程度だったため、実際にどの程度借り入れできるのか把握しておきたく、この物件を購入する意思はありませんでしたが、事前審査を受けてみることにしました。
中古マンション 内見(2)
この物件は400〜500戸ほどの大規模マンションでした。居住中の物件を内見するのは初めてだったので、知らない方のお宅に伺うのは少し緊張しました。 しかし、売主さんはとても親切な方で、私たちの様々な質問に丁寧に答えてくださり、非常に好感が持てました。また、室内の使い方やインテリアにも参考にしたい点が多く、勉強になりました。
そして、大規模マンションならではの魅力として、共用施設が非常に充実していました。キッズルーム、パーティールーム、ゲストルーム、カフェ、ジムなどが併設されており、これは大きなメリットだと感じました。加えて、物件価格が比較的お手頃だったのも魅力的でした。
ただ、気になる点もありました。近隣にスーパーなどの商業施設が少なく、最寄り駅へのアクセスが地下鉄1路線のみとやや心許ないこと、そして川が近く、水害のリスクが懸念されました。
この物件は魅力的でしたが、主に私が上記の点を懸念したこと、そしてもう少し他の物件も見てみたいという気持ちがあったため、候補の一つとしつつ、引き続き探すことにしました。
中古マンション 内見(3)
このマンションは、内見(2)と同じくらいの規模でした。残念ながら内見は叶いませんでしたが、周辺を散策したところ、夫婦ともに「このマンションに空きが出たらすぐにでも内見したい」と思うほど気に入りました。それほど、マンションの周囲の環境や雰囲気が良かったのです。
しかし、実際に物件情報が出て仲介業者経由で内見を申し込んでも、希望日を先延ばしにされるなどして、なかなか内見できませんでした。非常に人気があったのか、結局一度も内見できないまま、他の買い手に購入されてしまったようです。
中古マンション 内見(4)
このマンションは、私たちが住むエリアの最寄り駅の反対側に位置していました。近隣に住んでいるため、他のエリアの物件と比べて周辺環境を改めて調査する必要がなく、土地勘があるという安心感がありました。
これまでの経験から、人気物件はすぐに買い手が見つかってしまうことを痛感していました。そのため、この物件をSUUMOで見つけた瞬間、すぐに仲介業者に連絡し、最短での内見を依頼しました。
当日、私たちは一番手で内見することができ、これまでの物件の中で最も好印象でした。室内もきれいで、眺望も良く、雰囲気も申し分ありません。そこで、内見後すぐに購入の意思を伝え、買い付け申し込みを入れました。しかし帰宅後、仲介業者から「他にも買い付け申し込みが入っている」と連絡がありました。そして、価格を上乗せして購入する「買上がり」の提案を受けました。私たちはこの物件を大変気に入っていたため買上がりを選択しましたが、残念ながら他の買い手に購入されてしまいました。
仲介業者からは、私たちの契約希望日が2週間後だったことが原因の一つではないかと言われました。確かに、内見の翌週の土日はどうしても外せない予定があり、契約希望日を2週間後に設定せざるを得ませんでした。しかし、それ以外にも理由があるように感じています。おそらく、もう一方の買い手は売主と同じ仲介業者だったため、いわゆる「両手仲介」となり、仲介業者の利益が最大化される取引だったのではないでしょうか。これが敗因だったのかもしれないと考えています。
中古マンション内見のまとめと学び
この時点で10軒ほど内見し、買い付け申し込みに至ったのは1軒のみ。満足のいく物件購入は想像以上に難しいと実感しました。加えて、毎週土日が内見で潰れてしまうため、心身ともに疲弊していました。そこで、一旦積極的に内見するのは控え、少し休憩することにしました。
ここまでの経験で学んだことは以下の通りです。
- 内見は想像以上に時間と労力がかかる:特に休日が内見で潰れてしまうのは精神的にも負担。1日に内見できるのは2件程度が限界だと感じた。
- 図面と実際の印象は異なることが多い:図面や写真では良く見えても、実際に訪れると「何か違う」と感じることが多々あった。例えば、大きな家具が置かれていたり、物が散乱していたりする部屋は、実際よりも狭く圧迫感を感じる。また、幹線道路沿いの物件では、バルコニーが排気ガスでひどく汚れていることもあった。
- 内見は必ず夫婦(パートナー)と一緒に行くべき:男性と女性では着眼点が異なることが多い。私の場合、機能性や使い勝手などを重視しがちだが、妻は部屋の汚れや全体の雰囲気などをより細かく見ていた。双方が納得できる物件を見つけるためには、一緒に内見することが不可欠だと感じた。
新築マンションの見学
そんな折、近所に建設予定と噂されていた新築マンションの公式ホームページが更新され、ウェブでの事前案内の申し込みが開始されました。
正直なところ、新築マンションは高価で私たちの予算では手が届かないかもしれないと思っていました。しかし、中古マンションでなかなか気に入る物件が見つからない状況だったので、新築マンションが販売されるのであれば、一度話を聞いてみる価値はあると考えました。そこで、まずは私一人で事前案内に参加することにしました。
事前案内の説明を聞くと、意外にもなんとか手が届きそうな価格帯であること、そして他にも様々な魅力があることが分かりました。早速妻に相談したところ、妻も前向きだったため、すぐにモデルルーム見学を予約しました。
ちなみに、事前案内の際に手付金について質問してみました。通常、マンション購入時の手付金は物件価格の10%程度が相場だそうですが、10%となるとかなりの金額になり、契約から引き渡しまでの間に何かあった場合のことを考えると不安が残ります。そこで、5%程度にできないか尋ねてみたところ、営業担当者からは「事情によっては5%でも対応可能です。ただし、10%支払える方がいればそちらを優先することになります」といった趣旨の説明がありましたが、どうやら5%でも問題なさそうでした。
後日、モデルルームを見学し、実際の物件の間取りや設備を確認しました。改めて予定価格の案内があり、私たちの予算でも購入可能であることが分かりました。この価格帯であれば住宅ローンの事前審査も通過できる見込みが立ったため、本格的に検討を進めることにしました。
その後、営業担当者からは「何とか抽選にならないよう調整します」と言われていましたが、結局、希望した部屋は抽選(倍率2倍)となり、一時はどうなることかと気を揉みましたが、無事に当選し、売買契約を締結することができました。この時も手付金は5%で済んだため、初期費用を抑えることができました。
現在は、オプションを選定しながら、引き渡しの日を心待ちにしている毎日です。久しぶりに大きな買い物をし、ワクワクしています。
まとめ
このようにして、私たちの住まい探しは進んでいきました。当初は中古マンションを中心に探していましたが、最終的には新築マンションを購入するという結果になりました。
しかし、最初に中古マンションを検討したことで、不動産に関する様々な知識や専門用語を理解した上で新築マンションの検討に臨むことができたのは、結果的に非常に良かったと感じています。